零愛ー俺が必ずこの子を守る​ー
「え?桃季と友達……なの?」

「アハハ、宿敵?とか言った方が正しいかなー。俺さー、芹奈ちゃんのお兄ちゃんのこと大好きなんだ」

そう言った彼は余裕そうにかわいた笑みを浮かべた。

でも…なんだろ……。

お兄ちゃんの事大好き、って言ってくれてるのにすごく怖くてたまらなかった。

後ろに回された手が徐々に恐怖で震えていく。

彼がポツリ、と呟いた。

「零愛はいずれ…俺が潰す」

その言葉を聞いた瞬間、この人は…
桃季の敵だ、と思って睨んだ。

「だめ!」

思わず叫ぶ。

「ん?」

ーー((この子が芹奈ちゃんすか!))
ーー((海里さんそっくりじゃないですか!))
ーー((芹奈ちゃん、今日も可愛いですね))

「零愛にいる人、みんな優しいもん!」

倉庫行ったら遊んでくれるし…。
かわいい、ってみんないっぱい言ってくれるもん…。

「お兄ちゃんの大切な人たちいっぱいいるから、だめ!!」

絶対悪者…この人…。

下唇を噛みながらおそるおそる尋ねた。

「あなたも…零愛にいたんじゃないの…?」

「いたよ?でも海里さんのいない零愛なんか……俺からしたらなんの価値もないから」
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