零愛ー俺が必ずこの子を守るー
#2 ひとつ屋根の下
オムライス2つと後から来た
嵐が頼んだオレンジジュースで数時間滞在したファミレスは閉店時間を迎えようとしていた。
「芹奈ちゃん、芹奈ちゃん……」
「んーん……」
机に突っ伏す芹奈ちゃんはすっかり夢の中で、
どれだけ呼び掛けても起きてはくれなかった。
「ぐっすり、っすね」
嵐が小声で言う。
「あぁ…、だな」
いっぱい泣いて…、疲れたんだろうな。
眠っている芹奈ちゃんを抱き抱えて
俺らは外へ出た。
ファミレスの会計を嵐に全て任せた為
今度何かを奢る約束を取り付けられてしまった。
嵐はまだ中学生だが、
多分俺よりずっとしっかりしている。
「ほんと、海里さんに似てますね」
嵐が俺の背中におぶられた
芹奈ちゃんの寝顔を見て呟いた。
「そうだな」
「スー……スー……」
耳元で可愛らしい寝息が聞こえてくる。
もう熟睡だ。
「一緒に住むんですか?
これから。芹奈ちゃんと」
「……どうだろうな、一応同い年、だしな…」
海里さんと芹奈ちゃんは2人で暮らしていたと
言っていた。
つまり、海里さんがいなくなってしまった今……この子は1人な訳で……。