零愛ー俺が必ずこの子を守る​ー
「芹奈。桃季もな?悪気があった訳じゃねぇんだよ」

「うるさいー!わぁああああああん……」

「兄ちゃんに向かってうるさいとは何事だ!」

「…っ、」

怒鳴られてつい肩がビクッ、となった。

なんでそんな怒るの……っ!!

「…優しくしてよーーぉー……うぅーーー……。バンッ、って撃たれたら血がばーって出たの!えぇーーーん……めっちゃお腹痛かった!…もうやだぁあー。」

紫音、って人、嫌い!こわい!もうやだっ。大っ嫌い!!!

意地悪な事、ばっか言ってくる!

「ごめん、って。よく頑張ったなー。えらいえらい」

頭を優しくなでなで……
というか、ぐしゃぐしゃされた直後
ちょっと強引にお兄ちゃんに抱き上げられた。

そして…

ーートンッ……

私は……

この空間から追い出されるように優しく肩を押された。

「ほら。早く行ってやれ。桃季がさ、
死ぬほど泣いてっから​──────…」

それだけ言い残してお兄ちゃんは私に背を向けた。

「まって…っ、お兄ちゃ…」

「あいつに託してよかった。零愛も芹奈も」

どこか誇らしげにそう言ったお兄ちゃん。

私の体は眩しすぎる真っ白な光に包まれていった。
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