零愛ー俺が必ずこの子を守る​ー
桃季の硬い胸板に頬を押し付けられて、身動きが全く取れない。

なんて力…。

「ちょっとー……なんか強いー。あと痛いー。
あと苦しいーーー」

ジタバタもがいてみるけど頭の後ろに添えられた手に、さらに強い力が加えられるだけ。

「ごめん……もうちょっと…っ」

涙の粒が脳天に直撃して、冷たい。

だけどポカポカして暖かくて桃季の匂いいっぱいで……、、それはやっぱり……嬉しかったから、されるがままされてた。

ーードクン……ドクン……

伝わってくる桃季の心臓の音も…

私の髪を優しく撫でるその手も…

やっぱり落ち着く。

「うぅ……もう絶対……離さねぇ…っ、何があってもっ…、ずっと……っ、」

「分かった、分かったから、あの……桃季、ちょっともう離れてよー暑いからー」

でも流石にポカポカの度が過ぎて暑くなってきたので一旦離れようとするけど…

離れられない……ぃ。

「無理だ…離れらんねぇ……。もうちょっとだけ芹奈の心臓の音…っ、聞いてるな……っ?」

「……なにそれ…ねぇー、嵐、突っ立ってないで何とかしてよー」
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