零愛ー俺が必ずこの子を守る​ー
【桃季side】

芹奈が目覚めて数日が経った。

容態は順調に回復しつつあったが、
最近芹奈はどこか元気がなかった。

ジュエル曰く、撃たれた時の傷跡は今まで本人見ないようにしてたらしいけど昨日看護師に体拭いてもらった時つい見ちゃったらしいんだよなぁ……。

そして傷跡がよっぽど嫌だったのかギャン泣きしたらしいし……。

そしてその事全力で俺に隠したがってる、っぽいし……。

「今日は俺が体拭いてやるな?」

今起きたばっかの芹奈にそう言うと、はっ!とした顔をされた。

「いいっ……、胸小さいもん」

「だからそれは前、言ったろ?俺は​───」

「違う…っ、キズも…っ、見られたくないもん……!」

やっぱキズか。

さっき「女の子はそういうのすっごい気にしちゃうんだからちゃんと言ってあげてよね!」とジュエルに強く言われたばかりで、ずっとどう言おうか考えていた。

傷は…どうやったって残っちゃうしなぁ。。

暴走族にとっちゃ喧嘩で傷なんか日常茶飯事だけど芹奈は普通の女の子だ。

なんて言ってあげたらいいのか……。

頭を悩ませているといつの間にか芹奈が下唇を噛んでいた。
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