零愛ー俺が必ずこの子を守る​ー
またもびっくりしているのか
口をパクパクさせて俺を見る。

「……ももきぃ…」

何があったらそんな事になるんだよ……

助けを求めるように目をうるうるさせたかと思ったら、これまた下唇を噛んだ。

あぁ…、めっちゃ泣きそう……。

「うわぁあああああ……ん、…」

だよなぁ……。

***

さらなる悲劇は続いたが
どれも多分俺の手伝いをしてくれようとして
起こった事だった。

そしてやっぱりどれも芹奈ちゃんはほんの一瞬だけ泣くのを我慢してはみるものの、毎回我慢出来きれず糸がプツンと切れたみたいに泣き出してしまう。

それにしても

甘やかしたなぁ……海里さん。

本当に些細な事で泣いてしまう…。

そんなこんなで色々あったが
今は右手で俺の親指を掴み
左手でクマのぬいぐるみを抱きしめて
スヤスヤ眠っていた。

よく寝てよく泣いて、
なんか赤ちゃんみたいだな。

「…………もも……、…も…も………」

寝言言ってるし……。

本当に俺と同い年か……?

そんな事を考えながら
ソファに横になっている芹奈ちゃんを眺めていた。

陶器みたいな白い肌にピンク色の薄い唇。
艶のある胸下まで伸びた黒髪。
まるでお人形さんみたいだ。
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