零愛ー俺が必ずこの子を守る​ー
でも…
ほっといて、と言いつつ先に進もうとしないんだから可愛いもんだ。

近くの柱にもたれながら入り口付近でビクビクする芹奈のうなじをボーと眺めていると、パッと振り向いた。

「私は別にお化けが怖い、
なんて一言も言ってないんだからね」

「分かってるよ。全然怖くないんだよな?」

「うん」

「……」

なんの宣言だよ…。

「でも!ももきがどうしても、って言うなら
一緒に入ってもいいけど。
どうしてもって言うならね!?
私は別に、全然?1人でも全然…全然ね?
平気だけど。そこまで言うなら……」…

5分後…

ーーギュッ……!!、

不謹慎かもだけどいつもうるさい奴が
静かになるの、なんかすっげぇ…
……くる、っていうか…。なんていうか…
破壊力…やべぇな……。

結局一緒にお化け屋敷に入る事になった
芹奈は俺の腕にしがみついていた。

あー…そこにこんにゃくぶら下がってるけど…
避けてあげた方がいいかな…。

そんな事を考えているともっと手前にこんにゃくがあったようでそれが芹奈の頬を撫でた。

「きゃっ……」

小さな悲鳴を上げ、それが本人的に
ちょっと納得がいかなかったのか

「べっ、別に!?怖くないし!」

聞いてもいないのにそんな弁解をしている。

「はいはい。分かってるよ」
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