零愛ー俺が必ずこの子を守る​ー
そんなやり取りをしながら突き進むと
芹奈に掴まれた腕が少し緩んだ。

「あっ、出口っ」

「良かったな」

「うんっ…!」

光が見えて嬉しいようだ。

「……」

「あ…。べっ、別に!出口見えて
喜んでる訳じゃないし!!!」

「はいはい。分かってますよ」

「ほんとだもん!」

「……」

だもん、って……。

「ぷっ……」

「……」

「あっ、ごめん」

つい、吹き出してしまって大急ぎで謝罪する。

1ヶ月近く一緒にいて分かったが
こいつはプライドがやたら高い。

こんなとこで笑われたらまたブーブー言うだろう。

「な、なんで笑う訳!?」

「ごめん、って」

「なんで、か聞いてるの!私は!」

やっぱりブーブーだ。

「…なんか可愛いかったな、って。今の。」

だもん、なんて物言いは俺の周りでは絶対に聞かないし、ムキになってそんな言い方するから噴き出すには十分過ぎるものだった。

「……っ、」

「ほら。行くぞ」
< 46 / 242 >

この作品をシェア

pagetop