零愛ー俺が必ずこの子を守る​ー
「…っ、そっ、そこまで言うなら
乗ってあげなくもないけど。
私は別に乗りたい訳じゃないけどね。
桃季がそんなにひざまづいて熱心に頼み込むんなら、乗ってあげなくも……なくも……ない、ってだけで。。言っとくけど、別に私は足が痛い訳でも桃季の背中に乗りたい訳でもないから!」

「はいはい。俺‪”‬が‪”‬乗って欲しいです」

めんどくさい奴だなぁ…。

ーースースー……

そしておぶられたら一瞬で寝たし。

寝てる時は可愛いのにな。

耳元で聞こえる可愛らしい寝息。

そういえば初めて会った時も、
ファミレスの帰りこうやって帰った事を
思い出し、懐かしい気分になる。

***

芹奈を部屋のベッドに寝かせて、
静かに足に絆創膏を張った。

芹奈の部屋に入ったのは久しぶりだった。

一緒に暮らし始めて最初の数日間は
「一緒に寝るの」と言って聞かず……
ここで一緒に寝ていたが(やましい事は何もない)。

例によって最近は生意気へと成長したので
そんな可愛いセリフを言われる事はすっかりなくなった。

おもしろがって「一緒に寝るかー?」なんてこの前言ってみたら「変態!」と罵倒された。

まるで思春期真っ只中の娘だ。
< 49 / 242 >

この作品をシェア

pagetop