零愛ー俺が必ずこの子を守るー
「芹奈ー、ちょっと起きろー、浴衣脱ぐぞー」
軽く肩を叩いて呼び掛けてみると
目を閉じたまま、んー、と唸った。
「……脱がして……眠い…か……ら…」
それだけ言うと
再びスースー……と、また寝息が聞こえ始めた。
「しょうがねぇな……」
ベッドが軋む音を響かせながら
無防備に眠りにつく芹奈の腰に手を伸ばして
帯を緩めた。
「…っ」
窓から差し込む月明かりにほんのり照らされた
芹奈の寝顔から目が離せなくなったと同時に
俺の心臓がいつもよりも大きく音を立てた。
そっと目を逸らしてもその衝動は
消えそうになくて。
脱がし切る事が……
今日の俺には出来ない気がして
中途半端に帯だけ緩めて部屋を後にした。