零愛ー俺が必ずこの子を守る​ー
色々荒れていた倉庫に呑み込まれるようにして時間なんて二の次だったがここへ来て
もう1つの不安要素が頭によぎってきた。

「わりぃ…、俺そろそろ……」

救急箱を閉じながら嵐に一声かける。

時計を見た嵐が時間の経過に驚いている様子で言った。

「もうこんな時間ですか…。
そうですね、今日はもう帰りましょう」

「なんか、頼りなくてごめんな」

総長である癖に、海里さんが亡くなってからのここ(倉庫)は嵐に任せっきりになってしまっていた。

正直今は芹奈から目が離せないが、
海里さんは零愛も芹奈も。
どっちも守っていた。

そう思うとやはり尊敬しかない。

「いえ、そんなこと……。気にしないで下さい」

それから、今日の所は解散となった。

***

外に出ると辺りはすっかり暗くなっていて
芹奈にはすぐ帰ってくる、って
言っちゃったけどかれこれ2時間以上
経ってしまっていた。

大丈夫か?あいつ……。

なんてあれこれ考えていると
つい、フッ、と笑ってしまった。

ーー((ほんとに分かってるのか?))
ーー((分かってるー!))

なんか…………

過保護だな、と思ってしまったのだ。自分が。

普通なら幼稚園児に向けそうな不安を
今俺は16歳の芹奈に向けている。

改めて考えると
そんな自分は芹奈と出会う前の自分とは
かなり掛け離れていた。
< 54 / 242 >

この作品をシェア

pagetop