零愛ー俺が必ずこの子を守る​ー
続けてポトン、と
布団の上に涙が落ちる。

良かった……まじで…

無事で……。

大袈裟かもしれないけど、本当に…
死ぬんじゃないか、って思ったんだ。

手遅れ、とかだったらどうしよう、って。

そう思ったら
生きた心地が全然しなかった…。

寝室に差し込む月明かりに照らされた
芹奈の寝顔をそっと見つめると、
頬に、わずかに涙の跡が見えた。

俺が出ていってその後きっとソファかどっかで寝たんだろう。そして起きたら誰もいなくて、日が落ちていたなら部屋も暗かったはずだ。

……あんなになるくらいだ。

思い返してみれば買い物行くにも。倉庫に行くにも。芹奈と出会ってからはどこへ行くにもずっと一緒で、 この数時間が初めてだった。

1人にしたのは。

芹奈のそばを……離れたのは。

平気そうだけど、
……兄ちゃん死んで不安に決まってる。

強がってるだけだ。

俺の考えが甘かった。

最初の頃の芹奈を思うと、きっとそうなんだ。

何かあればわぁわぁ泣いてしまうあの頃よりも今はだいぶ良くなったものの……

あの芹奈も芹奈なんだ。

俺は静かに立ち上がって
ぬるま湯で濡らしてきたタオルを持って
またベッド脇にしゃがみ込んだ。
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