零愛ー俺が必ずこの子を守る​ー
こうして芹奈に触れる事で自分を落ち着かせようとしていたのかもしれない。

その日はずっとこうしていて、気が付いたら朝だった。

途中で俺も寝てしまっていたようで
目を覚ますと芹奈は布団を蹴ったくっていて、うつ伏せで寝ていた。

寝相悪いなぁ。

そう思いつつもなんだか心が和んだ。

と、その時だ。

ーーピンポーン

突然チャイムが鳴った。
朝っぱらから誰だよ、と思ったが
もう昼の12時を回っていた。

昨日はいろいろあったからか芹奈も俺もぐっすりだったようだ。

「おはようございますーっ」

玄関を開けると嵐が立っていた。

「頼まれてたもん!持ってきましたよ!はい、どうぞ」

「ありがとな」

差し出されたものを受け取り嵐を家に招き入れた。

芹奈は……まだ寝てるが、問題ないだろう。

家に入るなり、
嵐は「広いですねーっ、初です!」と
大はしゃぎだ。

あちこち探索してもう満足したのか
俺に尋ねた。

「でも、どうしていきなりスマホなんですか?」

今今嵐から受けとったものはスマホだった。

一昔前のではあるが、今は使っていない嵐のスマホ。

もう新しい機種に変えて必要ないらしいから譲ってもらったのだ。
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