零愛ー俺が必ずこの子を守る​ー
「お前なぁ…さっさと宿題を…」

「やるよ!?やるやる!これ聞いたらやるから!」

慌ててそう言うと桃季は
やれやれとでも言いたげな表情を浮かべて教えてくれた。

「酔いつぶれてたとこを俺が助けた」

「酔いつぶれてた……?」

あのお兄ちゃんが?

なんかお酒飲んでるとこあんま見た事ないけど……。そんな事を思っている私を見透かしたように桃季が付け足した。

「お前のせいだぞ?」

「え?」

「なんかせりながどう、とか言って、
わーわー泣いてる人がいて。
だからてっきり彼女に振られてやけ酒してんのかと思ってたけど、まさか妹だったとは。
海里さんあの日すっげぇ落ち込んでて。何か荒れてたな」

えー……喧嘩でもしたのかな、、

お兄ちゃんと喧嘩した記憶なんてほぼないけど…。

首を傾げて、考えていると桃季が言った。

「芹奈の帰りが遅かったからちょっと怒ったら
お兄ちゃん嫌い、って言われたらしくて。
それで。やけ酒だろうな、あ。っていうか実際は酒じゃなくて、何故かただの水に酔ってたんだった」

「あ…」

思い出した……。
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