零愛ー俺が必ずこの子を守る​ー
なんて思っていたらなんて事ないみたいに桃季が口を開いた。

「俺、喧嘩そこまで強くないぞ?」

「・ ・ ・」

「え?弱いのに総長やってるの?」

「いや、まぁ
それなりには強い方だとは思うけど」

「俺より強い奴なんて零愛の中にいっぱいいるからな」と、付け足す桃季の腕はいかにも強い人の腕、って感じなのに。

「へぇー…、ねぇ、そういえばさ、零愛に‪”シオン‪”‬?って人、いる?」

なんか話が終わりそうになり、
また宿題に戻るのが億劫で
とにかく話を長引かせたかった私はまた新たな話題を投げ込んだ。

と、いっても
それはちょっと前から気になってた事だった。

「……なんで?」

すると桃季は宿題から目を離し少しだけ強ばった顔をした。

その声がなんだか震えている気がして、
地雷を踏んでしまったかのような緊張感が漂ったのを感じた。

「いや…、お兄ちゃんが昔電話してる時シオンがなんとかかんとか、って話してたの聞こえたから…その人も零愛なのかな、って」

特に深い意味はなく、
宿題嫌&ふと気になったから
聞いただけだけど、なんか…
桃季の様子がおかしい気がして「ももき?」と呼びかける。
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