零愛ー俺が必ずこの子を守る​ー
はぁ…行きたくない。

自分を鼓舞しようとそうしたのに時計の針が進むにつれて気分は沈む一方だった。

そんな時、部屋の外から「芹奈」と、
私の名前を呼ぶ声が聞こえてきた。

「なにー」

ドアが開けられて、桃季が入ってくる。

いつも通りの返事が出来ているのか不安で
スカートの裾をこっそり握りしめた。

そんな私の手の行方に気付いたのか
桃季が私の手を掴んでパーを作らせた。

そして手のひらにポンッ、とスマホを置いた。

「これからはなんかあった時、
このスマホで俺に連絡しろよ?」

そう言って微笑んだ。

スマホはお兄ちゃんが20歳にならないと買ってあげない、なんて頑固な事言うから、中学の時1回揉めたんだよね。

これに関してはお兄ちゃんが一切引いてくれないから私が諦めたんだった。

「スマホ?くれるの!?」

「あげる」

「わーい」

なんでいきなりスマホ?とは思ったけど
きっと私がちょっと前
ちゃんと留守番出来なかったから心配して持たせてくれたんだな、と思った。

不本意にも泣いちゃった事だけが癪に触った!

「スマホデビュー!」なんて言って
喜ぶ素振りを見せてみるものの、やっぱり今日から学校…。
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