零愛ー俺が必ずこの子を守るー
私の通う高校なんて偏差値凄い悪いとこなのに…わざわざそんな高校に転校するメリットが桃季にある訳ない。
きっと…心配してそうしてくれたんだ…。
そうに決まってる。
「ん?別に?」
「今日も暑いなー」って言いながら
隣を歩いて同じ高校に向かう桃季の横顔をこっそり盗み見ていた。
もしそうなら…
私だって一応、申し訳なさも…感じる。
だけどそれ以上に今は嬉しい、と感じてしまっていた。
***
窓際の1番後ろ。私は自分の席に突っ伏して、あと数分で始まるであろうHRを待っていた。
さっきまでは桃季と一緒だったけど転校の手続きがあるとか言って職員室行っちゃった。
1人取り残された私はただ、時間過ぎるのを待っていた。
夏休み明けの教室はいつもよりザワザワしていて騒がしい。この教室に、私は友達が1人も居ないからそのザワザワに混じるなんて事は決してない。
学校はただ、こうして自分の席で時間を潰すだけ。