零愛ー俺が必ずこの子を守る​ー
***

「藤影さんの隣は嫌だわー」
「ねぇー、すぐ泣くし」

1人が放った言葉に同調するように他の子達も声を上げ始めた。

「関わりずらいよねー」

HRが始まって、夏休みの宿題を集め終わると来月ある課外学習でのバスの座席決めが行われた。

一軍で、陽キャで、先生からも好かれている、野村さんのグループが嫌そうに私を見ているのも無理はない。

他の仲良しグループはいい感じに偶数でまとまってて、だから……野村さん率いる3人グループの中の誰かひとりは強制的にバスで私の隣にならないといけない状況だった。

こうやって目の前で嫌な事を言われるのは
もう慣れた。と言いたい所だったけどなかなか慣れない。

もう何回も、こういう場面には直面してきたのに。教室の空気が私のせいで一気に悪くなっちゃって、居ずらくなっちゃう。

だけど何も言い返せないからこういう時は黙って、ただ俯く。

泣かない。泣かない。

心の中で何度も言い聞かせて。
こうやってれば次第に悪口にも飽きがきて、休み時間になってくれるから。

あーあ…。でももう嫌。泣きそう。
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