零愛ー俺が必ずこの子を守る​ー
やっぱり無茶なお願いだった。

しかし霧矢くんはさっきと同じく…

「いっ、いいけど…」

文句1つ零さずスッ、と了承してくれた。

しかしこのめちゃくちゃな展開に野村さん達が黙っている訳もなく…

「あんたのせいで霧矢。男子1人で女子だけのバスに乗るはめになってんだよ?
申し訳ないな、とか思わない訳?」

放課後になってすぐの事。

野村さんグループの3人に
囲まれるように壁際に追い込まれていた。

申し訳ないな、なんて言われなくても思ってる…。

霧矢くんも、嫌な顔1つもせず桃季の頼み聞いてくれたけどきっと私の為にやってくれた事だ。

「…」

何も言えずに時が過ぎるのをただ待っていると

「はぁー、また泣くのー?よっわぁー!」

という声が降ってきてさらに萎縮してしまう。

高校に入学して早々、一軍女子の野村さんに目をつけられてからずっとこう。

1回野村さんの前で泣いちゃった事があってそれ以来私の事が気に入らないみたい。

帰り支度を進めるクラスメイトは
チラチラとこちらを気にしている様子だけど決して助け舟は出してくれない。

もう…。また泣きそう…。
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