零愛ー俺が必ずこの子を守る​ー
衝撃の新事実に
ゆっくりと桃季の方に視線をやると
桃季は……なんだかさほど驚いて無さそうで
さらに「え?」と声が出た。

この霧矢くんの変貌ぶりを何故か気に留める素振りがない。

目の前で淡々とてへっ、とおちゃらけて舌を出す霧矢くん…いや、霧矢…ちゃん?をなんか冷めた目で見ていた。

そんな桃季を大きな瞳で見つめた霧矢ちゃん?は可愛らしい声で言った。

「ってなワケで。よろしくね、転校生くん」

「あぁ、よろしく」

何この2人……。

桃季はなんだかさっきから冷めた目だし、
でも、口角は上がってるし……。

それに霧矢ちゃん?も、
一見愛想良く笑ってるけど
瞳の奥が死んでる……。

よく分からないけど、
2人の間に火花が散っているように感じた。

***

「桃季さん!芹奈ちゃーん!」

学校からの帰り道。
桃季と零愛の倉庫に来ていた。

「始業式どうでした!?今日から同じ学校行くんですよね!」

倉庫に入るとすぐに学ランを着た嵐がテンション高めに近寄ってくる。

ちなみにあれから霧矢ちゃん?は
わざとらしく

「あっ、やばっ、漫研に遅れちゃう、てへっ」

と呟きながら部室に入っていってしまったのだ。
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