零愛ー俺が必ずこの子を守る​ー
「おい…っ!東島のクソ野郎ぉおおおおお!」

突然倉庫内にドスの効いた声が響き渡った。

声のする方を見た私は目を見開く。

「きっ、霧矢くん!?」

あ、じゃなくて……霧矢ちゃん?か。

そこには何故か先程別れたばかりの霧矢ちゃん?が仁王立ちしてこちらを見ていた。

正確にはこちら、というか桃季ただ1人を
キリッ、と睨み付けている。

っていうか髪長……!

ずっと見慣れてきた襟足長めの短髪とは違って
今はクルクルにカールしたロングヘアだ。

服装こそ男子生徒って感じだけどスラッとした美少女って雰囲気が漂っている。

ってことはいつもの短髪、カツラ!?

「あ……あ、……」

そしてそんな霧矢ちゃんを見て
嵐が口元をアワアワとさせている事に気付く。

なんかすんごい驚いてるみたいだけど……。

「え、桃季さん…あの方ってもしかして、あの……伝説のレディース総長…ジュエル姉さんですか!?」

震える手で桃季の服を引っ張る嵐は挙動不審でそう尋ねた。すると桃季がめんどくさそうに答える。

「伝説……では無いと思うが、まぁ……
ジュエルだ」

「じゅ……じゅえる……?」

てか
伝説のレディース総長!?

「なに…それ」

小声で尋ねると嵐が興奮気味で語った。
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