零愛ー俺が必ずこの子を守る​ー
「あー、高校の入学式ら辺?でさー、男装にはまっててぇー、ノリで?男装で登校してみたら案外バレなくてー、で、このまま!今に至るってワケ!」

「そっ、そうなんだ…」

「個人的に、教室の隅で日々コッソリ生きる陰キャ男子!憧れてたからそれっぽくやってたーっ!漫研とかぽいっしょ!?結構楽しいヨーっ!芹奈っちも今度やったげよかー?」

「おい!ジュエル、芹奈に変な事教えるなよ!」

桃季がすかさず口を挟むが
そんな桃季を見て意味深にフッ、と笑った
ジュエルちゃんが面白がるように言った。

「ふーん?」

「なんだよ」

ジュエルちゃんは‪”弱み握っちゃった♡‪”みたいな喜びに満ち溢れた目をしていた。

「いやぁー?ふふっ、べっつにぃー!?あの極悪卑劣な東島のクソ野郎がねぇー?すっかり丸くなっちゃって」

「どこか極悪卑劣だ!」

明らかに‪”弱み握っちゃった♡‪”の眼差しで桃季を追い詰めるかのようなジュエルちゃん。

しかし特に深い事は語らずその日は
「じゃっ、まったねー」と手をヒラヒラさせて倉庫から出ていってしまった。

その時に「芹奈っちー!ばいばーい!」
って言ってくれたのがなんだか嬉しくて、
友達が出来たみたいなそんな気分に
つい頬が緩んでしまった。
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