零愛ー俺が必ずこの子を守るー
ーー((東島くんの連絡先も教えてくれないかな))
…桃季と近付きたいから
私に話し掛けたんじゃん。
泣きながら。だけどちょっと不貞腐れるように見慣れない山の中を歩いていった。
その時だった。
後ろから地面を踏む音が聞こえてきた。
「おいっ!芹奈!待てって!」
聞き馴染みのある声に振り返ると肩で息をする桃季が居た。
追い掛けてきたんだ…。
「何プンプンしてんだよ」
「してないもん!」
俯いてスカートの裾にギュー、と力を込めた。
「してるだろ?どうした?」
「してない!」
「ほら。いいから。話してみ?」
顔を覗き込むようにして
優しい口調の桃季が微笑む。
「話す事なんて、なんもないもん!」
……言えない。
桃季と近付きたいからって理由で
野村さんは私に話し掛けたのに
ぬか喜びして、「あ、うん!する!」とか言った自分がバカみたいで恥ずかしくて、
……言いたくなかった。
体の奥の方から言葉にしづらい何かが
込み上げてきてたまらず走り出す。
「あっ、おい、待てって!
あんま奥進むと危ないから……っ」
…桃季と近付きたいから
私に話し掛けたんじゃん。
泣きながら。だけどちょっと不貞腐れるように見慣れない山の中を歩いていった。
その時だった。
後ろから地面を踏む音が聞こえてきた。
「おいっ!芹奈!待てって!」
聞き馴染みのある声に振り返ると肩で息をする桃季が居た。
追い掛けてきたんだ…。
「何プンプンしてんだよ」
「してないもん!」
俯いてスカートの裾にギュー、と力を込めた。
「してるだろ?どうした?」
「してない!」
「ほら。いいから。話してみ?」
顔を覗き込むようにして
優しい口調の桃季が微笑む。
「話す事なんて、なんもないもん!」
……言えない。
桃季と近付きたいからって理由で
野村さんは私に話し掛けたのに
ぬか喜びして、「あ、うん!する!」とか言った自分がバカみたいで恥ずかしくて、
……言いたくなかった。
体の奥の方から言葉にしづらい何かが
込み上げてきてたまらず走り出す。
「あっ、おい、待てって!
あんま奥進むと危ないから……っ」