零愛ー俺が必ずこの子を守る​ー
なんとかやってみるけど
私1人の力じゃ全然だめ…。

ビクともしなかった。

爪でカリカリやったり、押したり引いたり
試行錯誤してみたけど、重すぎて…。

「……無理だろ、芹奈全然力ねぇじゃねぇか」

ビクともしない事に気付いて桃季が苦笑いして私を見た。

ーーポタ……

そして追い打ちをかけるかのように雨まで降ってきてしまった。

なんでこんな時に……。

小雨だったのが一瞬で大粒の雨になってそれが
桃季の顔に容赦なくポタポタ打ち付けていた。

太陽も沈んできて辺りが薄暗くなっていく。

「雨…すごいからそこの洞窟入っとけ、な?」

桃季がチラッと視線をやった先には小さな洞窟があって、人が1人くらい雨宿りが出来そうな場所があった。

でもここに桃季1人残してそんな事出来ないよ……。

ビクともしなくても動かせる気配がなくても私は木にしがみついた。

どうしよう…。

早くどかさないと…っ!

焦りからか少し前に見た医療ドラマが脳裏を過った。

「なんか……っ、ずっと……、重い物に挟まれたままだと壊死する、って…!腕!切断しなきゃいけなくなっちゃう、ってなんかのドラマで言ってた!!」

このまま桃季の腕が挟まれ続けたらどうなるのかなんて、私にも想像出来た…。
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