零愛ー俺が必ずこの子を守る​ー
「ちょっ……、怖い事言うなよ…」

鼻の奥がツーン、となって
つい下唇を噛んで桃季を見ると
挟まれてない方の手で私の頭を撫でてくれた。

「心配してくれてありがとな。
でも俺は大丈夫だから、ほら。
そこの洞窟、入ってろ。な?」

なんか言ってるけど全然頭に入ってこない……。医療ドラマがまた浮かぶー…。

「もっ……桃季の腕…っ、無くなっちゃったら……っ、どうしよう……っ、そんなの……っ、ふぇっ……やだよぉー………、うぅーー……」

「だから怖ぇ、って!」

「だって……っ、」

「芹奈」

「…なにっ」

「ブラ、透けてる」

ゆっくり視線を下げて胸元を見ると
雨のせいでブラが透け透けになってしまっていた。

「もー!!変態…!!」

「じゃあ洞窟入ってろ、
これ以上透けると大変だから」

「…っ、」

言いくるめられた感じで一瞬言葉に詰まってしまう。

「…いい。ここいる」

だって桃季…震えてる……。

このままなら桃季だって風邪ひいちゃうよ…。

ここ…標高高いからか……、なんか寒いし。

途端に怖くなって…
こうなったのも私がこんな山奥入っちゃったからで…。

……………私の…せいで……。
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