別れを決めたので、最後に愛をください~60日間のかりそめ婚で御曹司の独占欲が溢れ出す~
プロローグ
幼なじみにずっと恋をしてきた。
嬉しい時も、悲しみに立ち尽くした時も優しい眼差しで寄り添い、頭を撫でてくれた8つ年上のお兄さん。
子供の頃の無邪気な好意は成長と共に憧れに変わり、やがて恋に行きついた。
彼の優しさの中にあるのは年の離れた妹に向けるような親愛と――同情。
それでもいつかひとりの女性として見てもらいたい、隣に立ちたいと彼の背中を追ってきた。
到底追い付くことできなかったけれど。
今夜長い初恋を手放した後も、前を向いていられますように。
想いは叶わなかったけれど、こんなに誰かを好きになれたことは幸せだったのだから。
「……へぇ、君は俺を練習台にして、他の男の所に行くつもりってことか」
初めて聞くような苛立ちを含む声に、未来は驚いて顔を上げた。
和輝の表情をはっきり確認できないまま、未来の頬は彼の大きな両掌で固定される。
「じゃあ、望み通り教えてやるよ。忘れられないようなのを」
整いすぎた顔が躊躇なく近づく状況を処理しきれないうちに、和輝の唇が未来のそれと合わさる。
「……んっ!?」
嬉しい時も、悲しみに立ち尽くした時も優しい眼差しで寄り添い、頭を撫でてくれた8つ年上のお兄さん。
子供の頃の無邪気な好意は成長と共に憧れに変わり、やがて恋に行きついた。
彼の優しさの中にあるのは年の離れた妹に向けるような親愛と――同情。
それでもいつかひとりの女性として見てもらいたい、隣に立ちたいと彼の背中を追ってきた。
到底追い付くことできなかったけれど。
今夜長い初恋を手放した後も、前を向いていられますように。
想いは叶わなかったけれど、こんなに誰かを好きになれたことは幸せだったのだから。
「……へぇ、君は俺を練習台にして、他の男の所に行くつもりってことか」
初めて聞くような苛立ちを含む声に、未来は驚いて顔を上げた。
和輝の表情をはっきり確認できないまま、未来の頬は彼の大きな両掌で固定される。
「じゃあ、望み通り教えてやるよ。忘れられないようなのを」
整いすぎた顔が躊躇なく近づく状況を処理しきれないうちに、和輝の唇が未来のそれと合わさる。
「……んっ!?」