別れを決めたので、最後に愛をください~60日間のかりそめ婚で御曹司の独占欲が溢れ出す~
未来が素直に甘える振りをしていたのは気を遣っているからで、決して図々しくならないように一線を引いていることは和輝も感じていた。
「大丈夫? って聞いたら大丈夫じゃないのに大丈夫って答えちゃうような子なんだ。そんな未来ちゃんに“和輝のお嫁さんにならない?” なんて言ったら、それこそ気をつかってお嫁にこようとするかもしれないと思って冗談でも言えなかった」
「嫁に来たら困るんですか」
「困るわけないじゃないか。娘になるんだぞ。嬉しいに決まってる!」
食い気味に言い切る貴久。
普段は大企業の社長として貫禄も落ち着きもある父だが、未来のことになると途端に様子がおかしくなることがある。
「それに、未来ちゃんは片思いしている男がいるって言ってたぞ。あの子の気持を無視して強引に進めることは許さんからな」
和輝は黙ってコーヒーを飲み干した。返事をしない息子に貴久の顔が曇る。
「……和輝? お前まさか未来ちゃんになにか」
「社長、そろそろお戻りにならないと。次のご予定もあるでしょう」
和輝はスッと立ち上がり副社長室のドアを開け、外で待機していた貴久の秘書に声をかけた。
「大丈夫? って聞いたら大丈夫じゃないのに大丈夫って答えちゃうような子なんだ。そんな未来ちゃんに“和輝のお嫁さんにならない?” なんて言ったら、それこそ気をつかってお嫁にこようとするかもしれないと思って冗談でも言えなかった」
「嫁に来たら困るんですか」
「困るわけないじゃないか。娘になるんだぞ。嬉しいに決まってる!」
食い気味に言い切る貴久。
普段は大企業の社長として貫禄も落ち着きもある父だが、未来のことになると途端に様子がおかしくなることがある。
「それに、未来ちゃんは片思いしている男がいるって言ってたぞ。あの子の気持を無視して強引に進めることは許さんからな」
和輝は黙ってコーヒーを飲み干した。返事をしない息子に貴久の顔が曇る。
「……和輝? お前まさか未来ちゃんになにか」
「社長、そろそろお戻りにならないと。次のご予定もあるでしょう」
和輝はスッと立ち上がり副社長室のドアを開け、外で待機していた貴久の秘書に声をかけた。