別れを決めたので、最後に愛をください~60日間のかりそめ婚で御曹司の独占欲が溢れ出す~
 あのままホテルに泊まっていたら、辛い気持ちを誰にも吐き出せずひとりの夜を過ごさなければならなかっただろう。

「私は未来の親友でしょーが。困ってたらほっておけないのよ……それにあんたにはいろいろ恩があるし」

「恩?」

「未来が誘ってくれなかったら私、この仕事していなかったかもしれないから。しちゃう?私たちの友情が始まった高校時代の思い出話」

 頬杖をつきながら雪成は昔を懐かしむように話し始めた。

 子供のころから周りの男子と違い、かわいいものやオシャレが好きだった雪成は、中学の頃それが原因で何かと揶揄われていた。

 高校は中学からの知り合いがいない自宅から距離のある都内の学校を敢えて選び、平穏な学校生活を送るため極力目立たないようにしていた。

 2年で同じクラスになった未来は明るく素直な性格の女子生徒で、雪成にも気さくに話しかけてくれたが、他のクラスメイトと同様、表面上の付き合いしかしていなかった。

 一学期が終わろうとしていた頃だった。昼休みに教室でスマートフォンに見入っていた雪成は背後に立った未来に突然声をかけられた。
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