別れを決めたので、最後に愛をください~60日間のかりそめ婚で御曹司の独占欲が溢れ出す~
「髪をかわいくしたり、メイクしてあげるとみんな目を輝かせて喜んでくれて、公演でも一層キラキラして見えた。その姿に感動しちゃって“こういうことを仕事にできたらな”って思ったの」

「お陰で公演は大成功だったから感謝しかないよ。それにユキちゃんも女子の輪になんの違和感がなく馴染んでくれてやりやすかった。今考えたらそれが自然だったんだね」
 
 部活のメンバーも雪成のことを自然と受け入れてくれた。

「そう、やっぱり自分の気持は女子なんだなって痛感したわ。でも、イチャモン付ける人間はやっぱりいたじゃない」

『男のくせにチアリーディング部に入り浸って女子とベタベタしている奴がいる』
 雪成のことをそう揶揄し始めたのはサッカー部の学校でも目立つタイプの男子グループだった。
 
 また中学の時のようにいじられるのだろうかと雪成は身を切られる思いだった。

「せっかく仲良くなったけど、未来たちとは距離を取ろうかと思ったの、でも驚いたわ。あんたサッカー部に乗り込んだんだもん」

「ああ……あの時は頭に血が上って」

 未来はいたたまれない表情で肩をすくめた。
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