別れを決めたので、最後に愛をください~60日間のかりそめ婚で御曹司の独占欲が溢れ出す~
「ああ、やっとなのね!」

「えっ?」

 美津子の声に恐る恐る顔を上げる。

「認めるも何も、私たちは未来ちゃんにお嫁さんに来てもらいたかったんだから反対なんかしないわ。この日をどんなに待っていたか」

「未来ちゃんが名実ともに僕の娘になってくれるんだ。嬉しいに決まってる。もう今日からお父さんって呼んでいいからね」

(ど、どういうこと……?)

 あまりにも前のめりな反応に困惑したまま隣の和輝を見る。

「だから心配ないって言っただろう? この人たちは俺が君を嫁として連れてくるのを手ぐすね引いて待ってたんだよ」
 
 どこか面白くなさそうな顔で和輝は言うが、そんなはずはない。

「でも、美津子さん、和くんにお見合いさせるって……」

「ああ、あれね、少しは効果あったかしら? “嫉妬は恋のスパイス作戦”」

「嫉妬は恋の……?」

 意味が分からずきょとんとしている未来に美津子は心底楽しそうに笑って顛末を話し出した。

 美津子は和輝と未来は想いあっていながら、長年の幼馴染の関係が邪魔してお互い想いを伝えられないのではないかと思っていた。
< 209 / 230 >

この作品をシェア

pagetop