別れを決めたので、最後に愛をください~60日間のかりそめ婚で御曹司の独占欲が溢れ出す~
思い立った未来はすぐに父に連絡をして実家のマンションに住む許可をもらい、来週の引っ越しに備えて部屋の物の整理をしているところだった。
すでにすぐに使わないものは段ボールに詰めて部屋の隅に積みあがっている。
そろそろ洗濯物が終わるころかと思っているとスマートフォンに着信が入った。
見ると画面には“父”と表示されている。未来は通話ボタンをタップした。
「――お父さん?」
『おはよう未来。誕生日おめでとう』
思いがけない父の言葉に驚く。父が誕生日の朝に電話をくれたのは初めてだ。
「覚えててくれたんだ……ありがとう」
これまでは必要な事がある時以外お互いにあまり連絡を取らなかったが、父は最近こうして電話をしてくることが増えている気がする。
研究職も後進に譲る年齢になり、娘に心を砕く余裕ができたのかもしれない。
未来の心に何とも言えないむず痒く、それでいて暖かい感情が湧きあがる。
すると父は思いがけないことを言った。
「お父さん、秋に東京本社に戻ることになったんだ」
「え、そうなの?」
「ああ、本社のラボで若手の指導に当たってほしいと言われてね」
「本当? じゃあ……」
すでにすぐに使わないものは段ボールに詰めて部屋の隅に積みあがっている。
そろそろ洗濯物が終わるころかと思っているとスマートフォンに着信が入った。
見ると画面には“父”と表示されている。未来は通話ボタンをタップした。
「――お父さん?」
『おはよう未来。誕生日おめでとう』
思いがけない父の言葉に驚く。父が誕生日の朝に電話をくれたのは初めてだ。
「覚えててくれたんだ……ありがとう」
これまでは必要な事がある時以外お互いにあまり連絡を取らなかったが、父は最近こうして電話をしてくることが増えている気がする。
研究職も後進に譲る年齢になり、娘に心を砕く余裕ができたのかもしれない。
未来の心に何とも言えないむず痒く、それでいて暖かい感情が湧きあがる。
すると父は思いがけないことを言った。
「お父さん、秋に東京本社に戻ることになったんだ」
「え、そうなの?」
「ああ、本社のラボで若手の指導に当たってほしいと言われてね」
「本当? じゃあ……」