別れを決めたので、最後に愛をください～60日間のかりそめ婚で御曹司の独占欲が溢れ出す～

　思ったより早く父と暮らすことになるかもしれない。そう思っていると『それで……』と電話の向こうで父がなにやら言い出すのを躊躇しているのがわかった。

「お父さん、どうかしたの？」

　いぶかしむ未来の声に一瞬息を詰めた後、父は思い切ったように言った。

「未来、お父さん一緒に暮らしたい女性がいるんだ」


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　恵比寿にある外資系の高級ホテル。
　和輝とは１８時の待ち合せだったが３０分以上早く着いてしまった未来は先にラウンジで待つことにした。

　この日の為に雪成の見立てで購入したモスブルーのワンピースは、自然に体に沿うラインで背中を後ろを大き目のリボンで結ぶ形となっている。背中が少しだけ開いているが肌でなくレースのインナーを見せるスタイルなので大人っぽい上品さだ。
　一方スカート丈は短くギリギリ膝が出ている。しっかり足を晒す未来にしては大胆なものだ。

　服装に合わせたゆるめのアップスタイル、上品なメイクに仕上げたのは雪成だ。

『さすが私！いいじゃない！大人っぽさの中に未来のかわいらしい雰囲気も残せてるわ。お肌が整ってるからメイクのノリもよかったわよ』