Dear.Mother【母の日短編集】
巧くんは働きたい私の意思を尊重し、育児も家事も積極的に参加してくれる。
というより、どちらも私より格段に上手い。
料理なんてどれも最高に美味しいんだから。
仕事は広告代理店の営業からライターに転向し、ほとんど在宅ワークで仕事をこなしている。
だからなるべく家事は巧くんが担当してくれるので、本当に助かっている。
その分、私は稼ぐと決めた。
「聞いて!副編集長に抜擢されたの!」
「えーー!?ほんとに!?おめでとう!!」
「まだまだだけど、頑張るわよ!」
「昇進祝いしなきゃだね!咲玖、ママのお祝いしようね」
「する〜〜!!」
まさか結婚した先にこんな幸せが待っているとは思わなかった。
特に自分の子どもがこんなにもかわいいなんて、産む直前まで知らなかった。
自分のためにずっと仕事を頑張ってきたけど、今は違う。
守るべき家族のために、もっと頑張りたい。
「そういえば舞子さん、明日の保育参観って来れる?」
「もちろん。前もってその日は休日申請してあるからね」
今週末は咲玖の通う幼稚園で保育参観がある。
この日は絶対出勤できないと、会社には根回し済。