Dear.Mother【母の日短編集】
こういう時、この人と結婚してよかったと思う。
私がこうして仕事を頑張れているのは、巧くんの協力あってこそだ。
巧くんは本来なら出世コースの営業マンだったのに、家事育児優先して今の仕事に就いてくれた。
「僕はあまり出世欲はないから、僕の分まで舞子さんが頑張って」と背中を押してくれた。
私は本当にいいパートナーに恵まれたと思う。
うちはうち、よそはよそ。
他と比べても仕方ないと思ってるけど、咲玖が悪く思われるのは心外だわ。
私は周りにどう思われても別にいいけど、咲玖は違う。
私のせいでいじめられたりなんてしたら……絶対に守らないと。
「咲玖、ママお仕事忙しくなるけど、咲玖に何かあったらすぐに飛んでくるからね」
「うん!がんばってねママ!」
ああ、うちの子なんていい子なのかしら……。
明日は楽しみだわ――。
なんて思っていたのに、翌朝部下から電話がかかってきた。
休むって言ったのに、取材先が急なキャンセルだって。もう、それくらい自分でどうにかして!!
「ごめん、一本電話かけてから行くわ。先に行ってくれる?」
「わかった。気をつけてね」