雪降る夜はあなたに会いたい 【下】
ー2ー
* * *
専務室の窓の外の景色を、ふと見つめる。今朝から降り続いている雪が、地上を白く染め始めていた。
「――雪、降り止まないですね」
常務から専務になっても、変わらず神原が俺の秘書をしていた。
「そうだな。積もるかもしれないな……」
雪野に外出しないようにと言っておこうか――。
そう思って、スマホを取り出す。臨月の身体で、この雪で転んだりしても大変だ。
初めての妊娠が哀しい結果になってから、一年と八か月。あとニ週間もすれば、俺たちの子どもに会える。ここまで無事に来ることが出来た。あと少しだ。
雪野は本当に頑張った。元気な子どもを産むため、俺に心配をかけないため。体調管理には人一倍気を使っていた。
そんな雪野の日に日に大きくなるお腹に、俺の心構えも出来ているはずだけど……。
それでもやはり、生まれて来るまではどうしても不安で。どうか無事に生まれてくれと祈るばかりだった。
”今日は、家で大人しくしていろ。気温も低い。身体を冷やさないように――”
送信して、スマホをしまおうとした時だった。手のひらの中にあるスマホが振動する。ディスプレイには、雪野の名前が表示されていた。