雪降る夜はあなたに会いたい 【下】

 
 二人で暮らす部屋に足を踏み入れたと同時に、その細い腰を引き寄せ、開く小さな唇を塞ぐ。

「――んっ」

雪野の手が俺の腕をトントンと叩く。

「そ、創介さん、急用は――」

唇を離したと同時に雪野の声が漏れる。それもすぐに遮った。

「昨日から、せっかく耐えてやっていたのに。おまえが煽るからだ」
「え? 煽る? なんのことですか――きゃっ」

訳が分からないとその頭の中を疑問で一杯にしている雪野を、そのまま抱き上げた。

「創介さん、どうしたの? 私、靴、まだ、履いたままで……っ」

俺の腕の中でバタバタと動く雪野に言い放つ。

「おまえは何もしなくていい。ただ、可愛いがられていればいいから」

一瞬にして、雪野が顔を赤くした。それは、俺がこれからしようとしていることを察知したという証。

「いいな?」

俺の目を見ていられなくなったのか、雪野が目を逸らす。そして、こくんと頷いた。

 ウエディングドレス姿を見た時から欲情していた。

そのまま連れ去って、ドレスを剥ぎ取りたい。そんな、実際に出来るはずもないことを考えて。

そして、二人で暮らす部屋で迎えた初めての夜。

本当なら、疲れなんて無視して、思いっきり抱いてしまいたかった。

そうやって、我慢に我慢を重ねていたところだった。

 雪野を抱きかかえたまま、リビングへと向かう。

新居に合わせて選んだ大きめのソファにそのまま腰掛ける。俺の膝の上に載せられた雪野が、少し怯えたように俺を見た。

「創介さん、ここで……?」
「ここで、何だ? 何をされると思ってる?」

そうわざと答えを逸らしておきながら、雪野のカーディガンのボタンを一つ一つ外していく。

「――ここ、明るいです……っ」

身体を隠すように俺の首に顔を埋める。それでも、ボタンを外す手を止めてはやらない。広がっていく胸元に手のひらを忍び込ませ、下着越しにその膨らみに触れた。

「創介さん……待って」
「もう、充分待ったよ」

俺にしがみつく雪野の手に力が入る。

「恥ずかしい、の」
「恥ずかしさなんて、すぐに感じさせなくしてやるよ」

すべてのボタンを外し切ったカーディガンを肩から滑らせていく。

露わになった肩に唇を這わせ、手のひら全体で雪野の膨らみの片方を覆いつくす。最初はゆっくりと規則正しく手のひらを動かす。

「やっ……、創介さんっ」
「どうした? もう、ここはこんなに欲しがっているのに」

控えめに喘ぐ声でさえ耐えられなくなりそうになる。

でも、自分の欲望はまだ抑える。もっと、もっと、雪野を乱れさせてからだ。

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