雪降る夜はあなたに会いたい 【下】
真昼間の明るさの中、雪野の上半身が晒される。
そう言えば、こんなにも明るいところで行為に及んだことはないかもしれない。
「……ホック、外すか? それとも、このまま?」
まだ直には触れていない。その代り、最初はゆっくりだった動きを次第に激しくして揉みしだく。びくびくと身体を跳ねさせているのに、頑なに俺の肩に顔を埋めている。
「……」
何も答えない雪野からは、漏れるように吐息が聞こえた。
「何も答えないなら、ここに聞こうか」
「――やっ」
脚を揃えて俺の膝の上にいた雪野を、俺に跨がせるように座らせる。露になった太ももに手のひらを滑らせ、奥へと入って行く。
雪野が慌てたように激しく身を捩った。反射的に脚を閉じようとしても、俺の脚に邪魔されてそれも出来ない。
「ダメ、です。そこ、触らないで……っ」
「どうして?」
ここでやめてやる気なんてさらさらない。
脚の付け根まで撫でまわしながらも、そこには触れない。雪野の身体を支える手のひらは背中を愛撫し、唇は首筋から胸元へと滑らせる。
それでいて、一番の快感を得られる場所には触れない。
雪野が苦しそうに眉間にしわを寄せて、唇を噛み締めていた。
これだけ苛めても雪野が耐えている。早くそんな理性を吹っ飛ばしてほしくて、さらに攻めたてた。
雪野の唇に触れれば、言葉には出来ないくせに、待っていたかのように口を開いて、すぐに俺の舌を引き入れた。
その小さな舌を吸い上げて、激しく絡み合わせる。
そんな貪るようなキスを繰り返していると、無意識なのか、雪野が俺に身を寄せて来た。身体はこんなにも正直だ。
いつもの雪野なら絶対に言わないような言葉を吐かせたい。
「そ、すけさん……っ」
「ん? どうした?」
「そうすけ、さん」
キスの合間に零す声は、乱れた息のせいで舌足らずになる。してほしいことを言えない代わりに、俺の名前ばかり呼んで。
「言わないと、分からない」
雪野が潤んだ目で俺に訴えて来る。
その顔――。
あと、もう少しだ。
「……さ、わって、ください」
「どこを?」
羞恥心と欲望の狭間で揺れる瞳を逃さない。
「……ここ?」
「そこも、だけど――」
「他にも?」
胸に手を当てれば、手のひらに尖りを感じる。
「胸だけじゃない? でも、ここは触ってほしくなかったんじゃないのか……?」
手のひらをゆっくりと滑らせていくと、雪野が脚を開いて俺の指を導こうとする。
「いいのか?」
「もう、焦らさないで……。お願い」
泣きそうな声で懇願する雪野は、めちゃくちゃにしてしまいたくなるほど可愛い。