主従夫婦～僕の愛する花嫁様～

｢━━━━ん！いい内容じゃないか！｣
課長が、神と女性社員に微笑む。

｢これなら話題になるよ、きっと！｣

｢｢はい！｣｣
神と女性社員も、微笑んだ。

その様子を見ながら、紅葉も微笑んでいた。


仕事が一段落つき、ホッと一息をつく。

｢あ！ねぇ！今日、飲み行かない？｣
｢おっ！いいですね～！｣
女性社員の言葉に、神が大きく頷く。

｢飲み行くの！？
私も行きたい！｣
｢俺も！｣
｢私も～！｣

紅葉がいる部署は、社員みんなとても仲が良い。
他の社員達も、集まってきた。

｢私も行きたいです！｣
理亜も入ってくる。

｢紅葉は？｣
｢行こうよ～紅葉さん！
紅葉さんも、かなり頑張ってくれたし！｣

｢あ、はい。そうですね！
いつも、なかなか出席出来ないし…｣

｢｢｢本当！！？｣｣｣
社員達が、目を見開いてくいついてくる。

それもそのはず、紅葉は普段飲み会には行かないからだ。
雲英に早く会いたいからと言うのもあるが、たまたまパーティーが重なったり、予定が入っていたり。

｢はい。
今日は、予定は入ってませんし。
それにお疲れ様会ですもんね！｣


仕事終わりに、そのまま行こうと言うことになり………
紅葉は、一度雲英に電話をかけた。

『はい！紅葉様、どうされました？』
雲英の優しい声が、耳をくすぐる。

｢甲斐、今どこ？｣

『え？会社の前で待ってますよ？』

｢ごめん、甲斐｣

『え？』

｢今日、会社の方々にお食事に誘われたの｣

『え……そう…なんですか？』

｢ほら、ずっと頑張ってきた企画が一段落ついたから“お疲れ様”って意味を込めて｣

『そうですか…でしたら、行かないわけにはいかないですね……』

｢ごめんね｣

『いえ。紅葉様にとって、社員の方々との交流は大切なことですので！
お食事する場所がわかったら、メッセージいただけますか？
あと、山神さんも行かれるんですよね？』

｢うん｣

『代わっていただけますか？』

｢うん。
━━━━━理亜！甲斐が、代わってって！｣

理亜にスマホを渡す。
｢ん！
━━━━━もしもし？｣

『言わなくても、わかると思うが……』

｢大丈夫ですよ！
ちゃんと、守ります！｣

『ん。よろしく』

雲英の鋭い声と言葉を受け止る理亜だった。