主従夫婦~僕の愛する花嫁様~
「え!?
ぜ、全然……」

「じゃあ、雲英さんが?」

「うん。
甲斐、専業主夫してくれてるの」

「へぇー!だからか!
それで紅葉が、親父さんの会社で働いてるわけね!」

「じゃあ、お弁当は旦那さんが?」

「あ、はい!」

「そうなんだ!」

「私、家事全然出来ないので……」

「へぇー、意外!」
「だよな」

「でも、このくらいの欠点がないと不公平ですよ?
これで紅葉が家事も完璧だったら、もう言うことないじゃないですか!(笑)」
理亜が、クスクス笑いながら言った。

「確かにー!(笑)」
「こんな可愛くて、仕事も出来る紅葉さんだもんね!」

「そんなこと……/////」
(は、恥ずかしい…/////)

「でも今回の特集、紅葉のサポートがかなり助かったし!」
「うん!いつも資料のまとめ方、丁寧で見やすいし!」


料理が運ばれてきた。

「理亜、これ、一人分なの?沢山あるのね…」

「違う、違う!(笑)
居酒屋は、大皿で来るの。
これを、小皿に取って食べるのよ」
耳打ちする紅葉に、クスクス笑う理亜。

「あ!そっか!」

「二皿頼んだから、五人ずつ分けてね~!」

「お皿貸してください。分けまーす!」
理亜が料理を分ける。

「紅葉、これ先輩に渡して?」
「うん!」
━━━━━━それから、賑やかに時間が過ぎていく。


典型的な女好き神は、女性社員に積極的に話しかけている。
そんな神の姿を、理亜が切なく見つめていた。

「理亜。この唐揚げ、美味しいね!」

「………」

「理亜?」

「………」

「………神くん!」

「ん?何~?」

「私も皆さんとお話したいから、席代わって?」

「え?うん、わかった」

神と席を代わる。
「神くんは、理亜のお話相手になってね!」
意味深に微笑む。

「は?理亜と?」
「はぁ!?ちょっ…紅葉!!?」
紅葉の言葉に、理亜が抗議する。

「うん!
皆さん、私もお話に入れてください!」
そんな理亜を無視して紅葉は、神と席を交代し他の社員と話し出した。


「━━━━じゃあ、乾杯でもする?」
神が、理亜に向き直る。

「うん…」

「乾杯!」
「乾杯」

「………」
「………」

「………」
「……なんか、言ってよ…私達だけ、暗いじゃん」


「理亜」
「何よ」

「理亜は、俺のこと“ほんとは”どう思ってる?」
< 33 / 99 >

この作品をシェア

pagetop