主従夫婦~僕の愛する花嫁様~
「━━━━シキガミくん、紅葉さんを連れて◯◯デザインまで行ってきてくれ」

「はい。
デザイン、渡しにですよね?
でも、一人で大丈夫っすよ?」

「あ、いやいや、◯◯デザインさん、男性だけっての嫌がるんだ。
かといって、紅葉さん一人じゃ……」

「え?」



「━━━━━迷子!!?」
ゆっくり街を歩いている、紅葉と神。

「うん…
情けなくて、ごめん……」

「姫様も、大変だな(笑)」

「………」
肩を落とす、紅葉。

「……紅葉」
神は前を向いたまま話す。

「ん?」

「ありがとな!」

「え?え?何?」

「理亜のこと!」

「あー!
フフ…幸せになってね!
理亜のこと、ちゃんと捕まえてて!」
見上げて、微笑む。

「………
紅葉は…さ…」

「ん?」

「なんで、人の幸せをそんな真っ直ぐ願えるの?」

「え?」

「高校ん時も俺と理亜のこと、自分のことみたいに喜んだり、泣いたりしてただろ?
他の奴等のことも、一緒になって笑ったり、悲しんだりしてた。
蓮汰が振られた時も、ボロボロ泣いてさ!
蓮汰が慰めてたじゃん!」

「大切な人達だから━━━━」

「ん?」

「大切な人達には、みんな幸せになってほしい!
大切な人達の、怒った顔や苦しそうな顔、悲しそうな顔は見たくない!」

「そうだな」

「私は、笑って生きていきたい。
大切な人達と!」


デザインを渡し、会社へ戻ろうとする。

「紅葉、今度またダブルデートしようぜ!」
「え?でも…邪魔になるし……」

「それは、どっちが邪魔?」

「え?どっちって……」

「俺達、邪魔?」

「ううん!」

「じゃあ、決まりだな!
また、BBQの仕切り直しだ!」

神が微笑み、紅葉の頭をポンポンと撫でた。



「━━━━━で、なんで、こうなんの?」
神が、固まっている。

「ダブルデートじゃないの?」
理亜も、固まっている。

「紅葉様、我々はお暇しましょ?
こんな汚ない奴等といると、貴女が穢れる」
雲英が紅葉に微笑み、踵を返そうとする。


「総長~!」
「待ってましたよぉ~」

「理亜~」
「理亜さーん!」
「早く~!もう、焼けてますよ~」

会場に着くと、シキ神や乙組の仲間達がいた━━━━━


「え?
“みんな”で楽しも?」
紅葉は、微笑み輪の中に入ろうと足を進めた。
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