主従夫婦~僕の愛する花嫁様~
「へぇー
紅葉は“羊さんのモノ”ってわけか……」

「紅葉様は、僕のモノだ」

「え……」

「紅葉様は僕の妻。
独占して何が悪い?
それに、紅葉様がちゃんと受け入れていてくれてるんだ。
他人にとやかく言われることではない」

「そうですよね」

「甲斐!」
紅葉が、目で諭す。

「あ…も、申し訳ありません!」

「理亜」
「ん?」

「何があったか、聞かせてくれる?」

「…………神と、喧嘩した。
すぐ嫉妬しちゃって、思ってもないことぶつけて、喧嘩したの」
理亜は頷き、ポツリポツリと話し出した。

「そう。
神くん、色んな女性と普通にお話するもんね。
神くんはその気なくても、スキンシップもしちゃうみたいだし……
ヤキモチ、妬いちゃうよね……」

「うん…」

「………」
紅葉は席を立ち、理亜の横に座った。
そして理亜を抱き締め、ゆっくり背中をさすった。

「大丈夫!
神くんは、理亜のことだけを想ってる。
私は、二人を見てるからわかる。
神くん、女性社員さんとお話してるけど、何気に理亜を見てるんだよ?
あと最近理亜、島岡(しまおか)さんとよくお仕事で外に出てるでしょ?
その時も、そわそわしてるの(笑)
“大丈夫だよ!”って、慰めたことあるんだけど、神くん“別に心配してねぇ”って言ってたけど、ほんとはすっごく心配してるの!」

「へぇー」

「━━━━━フフ…理亜と神くんは、とっても似てる!」

「え?」

「お互い大好きなクセに、素直じゃない。
二人ともとっても強いのに、お互いのことになると不安で押し潰されてる」

「そうね…(笑)」

「理亜」
「ん?」

「“女好きの神くん”ごと、好きになろう!」

「え?」

「そう考えれば、少し楽だよ!
でもね。
理亜も、我慢はダメ!
女性と話さないでってのは無理だから、できる限り傍にいて?ってお願いするの。
スキンシップも、しないでって!
それくらいなら、言っても許されるでしょ?」

「紅葉…
……………うん…ありがとう!」

「大丈夫!私がいる!
寂しい時、悲しい時、私がいつまででもお話聞くよ!」

「うん!ありがとう!好きよ、紅葉!」
「うん!私も、大好き!」

「………フフ…紅葉には“好き”って言えるのになぁー(笑)」

「フフ…そうだね(笑)」
自嘲的に笑う理亜に、紅葉もクスクス笑った。
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