主従夫婦~僕の愛する花嫁様~
「…………泣かないで?紅葉様」

「え?私、泣いてないよ」

「でも、とても悲しそうです。
僕にはわかります。
どんなに笑ってても、心から笑ってないこと」

「この前のこと…」

「え?」

「あ、待って。
先にこれ……
理亜からだよ」
理亜に渡された贈り物を渡す、紅葉。

「え……理亜さんからですか?」

「“世話になったから”って」

「え?世話って……」

「世話になったって何?」

「え?僕にも、よくわかりません。
本当に、お話しただけなんです」

「どうして、理亜は泣いてたの?」

「僕がお話したことが、心に刺さったからではないかと。
しかし僕は、紅葉様のお話をしただけです。
紅葉様は、真っ直ぐで素直な方だと」

「そう…なんだ…
理亜が、神くんを想ってることはちゃんとわかってるの。
でもなんか、矛盾してて…
もしかしたら、理亜が甲斐のこと好きになったんじゃないかって思って……不安になったの……
理亜は、素敵な女性だから……
もし、二人が“そうゆうこと”になったら、ちゃんと引き下がらないとって……」

「そんなこと……
…………例えそうでも、僕が愛してるのは“最初から”紅葉様だけです。
紅葉様が僕のモノであると同時に、僕も紅葉様のモノですよ!」

「うん…
ごめんね、変なこと言って……」

「いえ!
でも、僕は嬉しい!」

「え?」

「紅葉様は、不安な時も“ちゃんと”伝えてくれる。
人って……相手に嫌われたくなくて、本音を言えないものですよね?
だから、余計に僕達も不安になる。
だからこそ、思いは伝え合うべきだと思うんです。
それが、どんなに恥ずかしいことでも。
まさに理亜さんは、そのことを悩んでいた。
しかし紅葉様は、真っ直ぐ想いを伝える。
だから貴女は、素敵なんです!」

「そうかな?」

「はい!
以前、言いましたよね?そうゆうところ、大好きですと」
「うん」

「だから、不安にならないで?紅葉様。
僕は、貴女しかいらないんですから………!」
紅葉に顔を寄せ、頬を撫でる。

「甲斐…」
「フフ…紅葉様。不安なら、キスしますか?ここで」

「え!!?/////」

「この……退社時間の社員達が行き交う会社前で、いつものように僕の想いのこもったキス」

「や…/////やだ…/////恥ずかしい…/////」


「フフ…じゃあ…家に帰ったら、嫌って言う程キスしましょうね!」
ニコリと笑って、雲英は言ったのだった。
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