主従夫婦~僕の愛する花嫁様~
「あー、空神 紅葉さん。
空神財閥のご令嬢だ。
こちらが、紅葉さんのご主人の雲英。
元・紅葉さんの執事だ。
で、雲英は俺の従兄弟」

「へぇー!」
「執事が、旦那になるって凄いっすね!」

「こんばんは、空神 紅葉と申します!」

「あ、こんばんは!」
「じゃあ、俺達の親会社の……」
「はい」

「こんばんは」
雲英も、無表情で挨拶する。
まるで結界でも張っているかのように、雲英が纏う雰囲気が冷たい。

「な、なんか…こえぇ…」
「え?俺、初めて会ったのに嫌われてる?」

「あ、すみません。
まだ、君達がどんな人かわからないから」

「え?」

「俺のダチと後輩だから、大丈夫だって!」
亞嵐が、安心させるように言う。

「は?」

「はい?」

「甲斐」
「はっ!も、申し訳ありません!」

「ごめんなさい。
私達、失礼しますね!」

「あ、はい、また!」
去っていく雲英と紅葉を見送る、亞嵐達。

「つか、ほんと美人っすね~」
「オーラ?もスゲーし、さすが財閥の令嬢って感じ!」

「まぁな!
容姿端麗で、清楚で上品。
まぁ…世間知らずではあるが……(笑)
とても魅力的な方だよ……!」

「「………」」
亞嵐の言動に、社員達は固まる。

「ん?なんだよ」

「あ…いや……」
「更井、惚れてんの?」

「は?」

「「空神さんに」」

「…んなわけないだろ!?/////」

「「ふーん(笑)」」

「な、なんだよ!!ふーんって!」


一方の雲英と紅葉。
「━━━━まさか、更井さんに会うなんてね!」
「はい」

「甲斐」
「はい」

「更井さんのこと、嫌いなの?」
「え?どうしてですか?」

「だって、いつもあまり良い顔しないから。
なんだか、苦手そうな顔をする」

「嫌いではありませんよ?
でも、苦手ではあります」

「そう…なんだ」

淡々と言ってくる雲英に、紅葉は切なく瞳を揺らした。
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