主従夫婦~僕の愛する花嫁様~
「紅葉、雲英さん。
助かった!ありがと!」
「ほんと、助かった~!
ありがとう!」

二人の荷物が少ないのもあるが、何とか一日で一通り終わった。

「なんか、デリバリーでも頼んで食おうぜ!」
「そうね!」

「は?デリバリー?」
雲英が、心底驚いたように言った。

「「デリバリー」」

「そんなものを、紅葉様のお口に入れるのか?」

「だって、何もないっすもん!」
「材料があれば、作るんだけど……」

「ダメだ。
紅葉様に、そんなものを食べさせるわけにはいかない」

「じゃあ、どうします?」
「食いに行きます?」

「は?紅葉様は、今お休みになってる」
紅葉は、疲れてソファでうたた寝している。

「でしょ?」
「どうしますか?」

「………」
雲英は少し考えて、スマホを取り出した。

「もしもし、空神だ。
━━━━━あぁ、こちらこそ。
急で申し訳ないが、オードブルを二つ用意してほしいのだが……
━━━━━あぁ、あぁ。それは構わない。
無理を言ってるのは、こっちだから。
━━━━━わかった。よろしく頼む」

そして、もう一件電話をかけた。

「あ、亞嵐?
ちょっと、頼みがある。
◯◯屋のオードブルを頼んでるから、取りに行き持ってきてくれないか?
50分程で用意してくれるそうだ。
いや、自宅じゃない。
住所は、すぐに送るから。
悪いが、頼む」

通話を切った雲英は、神と理亜に向き直った。

「◯◯屋のオードブルを頼んだから。
そちらにしてくれ。
もちろん、金は払う。
紅葉様からの引っ越し祝いだ」
と、言ったのだった。

一時間後、亞嵐が神&理亜のマンションに訪問してきた。
「━━━━━わざわざ、すみません!!」

「ううん!
雲英の……てか、お嬢様の頼みだからね!」

「あ、亞嵐さんも一緒にどうすか?」

「え?いいの!?」

「はい!どうぞ?」

「じゃあ、お言葉に甘えて!
お邪魔します!」


「━━━━あ、更井さん!
わざわざ、ありがとうございます!」
「いえ!
お役にたてて、僕は光栄です!」
丁寧に頭を下げる紅葉に、亞嵐も丁寧に頭を下げる。

「助かった。亞嵐」
「ん!」
無表情だが穏やかに言う雲英に、亞嵐も微笑んだ。
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