主従夫婦~僕の愛する花嫁様~
空神コーポレーション前に着き、ゆっくり止まった車。

「………着いちゃった…」
思わず紅葉は、呟いていた。

「もう一度、キスしておきましょうか?」
そう言って、顔を近づけてくる雲英。

「だ、ダメよ!?
ここ、外よ!?」

「しかし、車の中です」

「は?車の中って言ったって、外から見えるでしょ!?」

「お願い…紅葉様…キスしよ……?」
スイッチが入る、雲英。
甘えるように、更に顔を近づけてくる。

「ちょ…やめ…/////んっ…!!?/////」

「はぁ…紅葉様…////もっと…もっとして…?」
チュッ!チュッ!とキスをして一度離し、更に甘えてくる。

「ほんと…やだ……」
「あ…/////声まで可愛い…/////」

「ちょ…か、甲斐!!!」

「あ…」

「も…やだ!!」
紅葉は自分でドアを開け、車を降りた。

「あ!!?も、紅葉様!!?」
雲英も慌てて降り、紅葉に駆け寄った。

「甲斐」
「は、はい!」

「理性、保ってって言ったわよね?」
「はい…」

「キスは、二人っきりの時にしたい」

「はい。
申し訳ありません。
紅葉様が可愛くて、つい……」

シュンと落ち込むように項垂れた、雲英。
その姿が、可愛い。

紅葉はフフ…と噴き出し、雲英の頭をポンポンと撫でた。

「え?紅葉様?」
「フフ…行ってきます、私の旦那様!」

「……/////
フフ…行ってらっしゃいませ、僕の愛する花嫁様!」

紅葉は、小さく手を振り会社に入っていった。
雲英は左耳の紅葉のピアスに触れ、紅葉の後ろ姿を見つめる。

普段買い物をしない紅葉が、雲英のために店まで出向いて選び、プレゼントした雲英の宝物のピアス。
(紅葉も、右耳にお揃いのピアスをつけている)

紅葉が見えなくなるまで立ち尽くして見つめ、漸く車に戻った雲英。

「…………
………フフ…フフフ…
可愛い…可愛すぎだ…!
寂しがる表情、甘い声、怒った顔、笑顔……
全部可愛い……!」

運転席で、天井を見上げ物思いにふけっていた。


しばらく紅葉への想いにふけて、自宅マンションへ帰った。

マンションへ帰ってからは、ひたすら家事に没頭する。
朝食後の食器を片付けから、洗濯、掃除、買い物……

紅葉との聖域のような、この空間。

常に紅葉が、快適に暮らせる空間でなければならない。
なので特に掃除は、念入りに行う。
買い物に関しても、消耗品の補充は重要だ。

ドレッサーに向かい、化粧品などの残量を確認。
ボディソープやシャンプーなども、ストックがあるか確認しておく。

買い物も、全て雲英が行い管理している。

なので紅葉は、ほとんど買い物をしない。
(だから紅葉に買い物をさせると、倍以上の時間がかかるのだ)
< 7 / 99 >

この作品をシェア

pagetop