主従夫婦~僕の愛する花嫁様~
マンションの地下駐車場に着き、車を降りる。

いつものように指を絡めて手を握ると、紅葉がそのまま腕に絡みついてきた。
「ん?紅葉様?」

「何?」

「フフ…いえ!(笑)」
(やっぱり、ヤキモチ妬いてくれてる!
可愛い、可愛いなぁ~)

紅葉がヤキモチ妬いてくれるのが嬉しくて、雲英は満面の笑みで微笑んでいた。


家に帰ってからも、やけに紅葉がくっついてくる。
風呂を沸かそうとしてる雲英の背中に、抱きついてきた紅葉。
「━━━━━雲英」

「はい」

「私、鬱陶しい?」

「フフ…いえ!そんなことないですよ?
紅葉様とくっついてるの、好きなので!」

「じゃあ、ひっついてていい?」

「はい!どうぞ!」


「━━━━━あ、紅葉様。
いただいたマカロン、どうされますか?」
風呂が沸く間ソファに並んで座り、雲英が問いかけた。

「うーん…
せっかくだし、いただくわ!
あ、でも!明日ね!
この時間に食べたら、太っちゃうし……」

「フフ…はい!」

「雲英も、一緒に食べようね!」
「はい!」


風呂が沸き、雲英が紅葉の着替えの準備をする。
その間も紅葉は、雲英にくっついていた。

「雲英」
「はい」

「お風呂、一緒に入…る…?」
背中にしがみつくように抱きついていた紅葉が、後ろから窺うように見上げてきた。

「え?」
雲英は驚愕し、目を見開く。

それもそのはず、紅葉は普段“自分から”一緒に入りたいと言わないからだ。
花火大会の時に一度言ってきたが、それ以降は明らかに一緒に入りたそうにしてても、自分からは言わない。
いつもは雲英がそれを察して言い、恥ずかしがりながら入るといった感じだ。

「あ…/////や、やっぱ、いい!」

紅葉は顔を真っ赤にして雲英から離れ、風呂場に向かうとする。

「入ります!!」

その紅葉の背中に呼びかける。

「え?あ…/////う、うん/////
じゃあ…行こ?//////」
「はい!」

身体を洗い合って、浴槽に浸かる。
紅葉を後ろから足の間に挟み、紅葉のうなじを見つめている雲英。

隣の女性の存在一つで、ヤキモチを妬く紅葉。
ただ越してきて、挨拶に来ただけなのに。

(俺は、紅葉様しか見てないのに。
あの女に対して、鬱陶しさしか感じてないのに)
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