イノセント・ラブ・アフェア
「家まで送るよ。住所は?」

そう言って彼は、タクシーを私のアパートの前まで寄せてくれた。

そして、ぐにゃぐにゃに酔いつぶれた私を、2階の部屋まで連れて行ってくれた。



知らない男の子をなかに上げるのは、まずいよな…。

私はドアを背にして、お礼を言おうとして正面から彼を見た。





まいったな。

めちゃめちゃタイプなんだけど。



ほっそりしていて、髪は長め。

渋めの髭で、大人っぽい印象なのに、

よく見ると、子犬みたいにつぶらな目。



待て待て、自分。

名前も知らない男の子を連れ込むなんて私らしくない。


でも、このまま帰すのも、悪いんじゃないかな。

せっかく送ってもらったんだから、お茶くらい出さないと。

< 4 / 72 >

この作品をシェア

pagetop