殿下は殿下の心のままになさってください。
***
「先ほどはすまなかった、マチルダ。不快な思いをさせただろう?」
教室で授業がはじまるのを待っていたら、ヴァージル殿下はわたしに謝ってきた。
(悪いと思うなら最初からするなよ)
わたしは深々とため息を吐きつつ、ヴァージル殿下をちらりと見遣る。
「さっきの令嬢は? 同じクラスじゃないんですか?」
「え? ……ああ。彼女は隣のクラスらしい。もっと成績が良ければ、と残念がっていたよ」
「……そういえば、そんな話でしたね」
この学園のクラス分けは成績順になっている。ヒロインはもともと中の中ぐらいの成績で。そこからヴァージルのために努力して、最終的には同じクラスに上がれるっていう話の流れだった。
(まあ、努力家なのは結構だけど)
性格がほわほわしているうえ、知識までないんじゃ、妃なんてとても務まらないだろうしね。
「――――怒っていないのか?」
「怒る?」
わたしの反応が意外だったらしい。バージル殿下は首を傾げつつ、そんなことを尋ねてくる。
「先ほどはすまなかった、マチルダ。不快な思いをさせただろう?」
教室で授業がはじまるのを待っていたら、ヴァージル殿下はわたしに謝ってきた。
(悪いと思うなら最初からするなよ)
わたしは深々とため息を吐きつつ、ヴァージル殿下をちらりと見遣る。
「さっきの令嬢は? 同じクラスじゃないんですか?」
「え? ……ああ。彼女は隣のクラスらしい。もっと成績が良ければ、と残念がっていたよ」
「……そういえば、そんな話でしたね」
この学園のクラス分けは成績順になっている。ヒロインはもともと中の中ぐらいの成績で。そこからヴァージルのために努力して、最終的には同じクラスに上がれるっていう話の流れだった。
(まあ、努力家なのは結構だけど)
性格がほわほわしているうえ、知識までないんじゃ、妃なんてとても務まらないだろうしね。
「――――怒っていないのか?」
「怒る?」
わたしの反応が意外だったらしい。バージル殿下は首を傾げつつ、そんなことを尋ねてくる。