貴方と同じ愛を返したい
「あの、バナナジュース飲みますか?」
「へ?」
彼女の手にはバナナの絵が描かれたペットボトルがある。いきなりすぎるこの状況が理解できずに固まる。今、この子はなんて言った?
「いや、あの、、。泣くのって疲れるじゃないですか。しかも、重そうなリュック背負ってるから塾帰りっぽいなって思って。頭使ったあと、私は甘いの呑みたくなるからさっき買ったんです。でも、私やっぱいいやと思って鞄にしまおうと思ったら、あなたがいたので、よければと思って。余計でしたか?」
いきなりのことに驚きつつも、ゆっくり言葉を理解する。たどたどしい言葉から察するに、初対面の人と話すのが苦手なのだろう。それでも話しかけてくれたことを嬉しく感じる。
「あなたは飲まないんですか?」
「はい、買ったんですけど気分じゃなくなってしまって。家に持って入りたくはないので受け取ってもらえると助かります」
「、、、、、、、そういうことでしたら、いただきます」
そういって彼女の手からペットボトルを受け取る。