天使くん、その羽は使えません (短)
「ついでに言うと、胸くそ悪い。もう二度と、俺の前で“ 完璧な天使”とか言わないで」

「え、ちょ、」


どうしたの――?


聞こうとした、その時だった。

私のすぐ後ろで「ハッ」と、短く笑った声が聞こえる。


「え?」
「っ!!」


条件反射で、サッと耳を押さえた私。そんな私を、天翔くんが急いで抱きしめた。そして天使の羽をバサッと勢いよく出して、滑り台の遊具を軽く飛び越える。


ザザッ


「ひぃ!?び、ビックリ、したぁ!」


安全バーなしでジェットコースターに乗った気分!めちゃくちゃ怖い!!

だけど――怖がった私以上に、天翔くんは顔色を青くして「ある人」を見ていた。

その「ある人」は、天翔くんと同じく天使の羽を出して、滑り台のてっぺんに立っている。


「あの人も、天使……?」
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